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東京高等裁判所 平成12年(行ケ)10号 判決 2000年9月27日

原告

吉野石膏販売株式会社

代表者代表取締役

【A】

訴訟代理人弁理士

【B】

被告

特許庁長官【C】

指定代理人

【D】

【E】

主文

特許庁が平成9年審判第2402号事件について、平成11年11月30日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

第1当事者の求めた判決

1  原告

主文と同旨

2  被告

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

第2当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

原告は、平成5年6月28日、「カルゲン」の片仮名文字を横書きしてなり、指定商品を商標法施行令別表による第1類「土壌改良剤」とする別紙1記載の商標(以下「本願商標」という。)につき、商標登録出願をした(商願平5-66148号)が、平成8年11月13日に拒絶査定を受けたので、平成9年2月10日、これに対する不服の審判の請求をした。

特許庁は、同請求を平成9年審判第2402号事件として審理したうえ、平成11年11月30日に「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年12月13日、原告に送達された。

2  審決の理由

審決は、別添審決書写し記載のとおり、「コルゲン」の片仮名文字を横書きしてなり、指定商品を平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令別表による第1類「化学品、薬剤、医療補助品」(ただし、平成10年3月11日に、指定商品中「土壌改良剤」について登録取消しの確定審決の登録)とする別紙2記載の登録第2402674号商標(平成元年3月2日登録出願、平成4年4月30日設定登録、以下「引用商標」という。)を引用して、本願商標と引用商標とは、外観及び観念が相違するとしても、全体の称呼において類似する商標であり、本願商標の指定商品「土壌改良剤」と引用商標の指定商品である「農業用薬剤または公衆衛生用薬剤」中の「除草剤、植物育成剤」とは類似する商品であるから、本願商標は商標法4条1項11号に該当し、これを登録をすることができないとした。

第3原告主張の審決取消事由の要点

審決の理由中、本願商標及び引用商標の認定(審決書2頁2~末行)、並びに本願商標より「カルゲン」の称呼を、引用商標より「コルゲン」の称呼を生じるとの認定(同3頁2~7行)は認める。

審決は、本願商標と引用商標とが類似するとの誤った判断をし(取消事由1)、また、本願商標の指定商品「土壌改良剤」と引用商標の指定商品中の「除草剤、植物育成剤」とが類似するとの誤った判断をした(取消事由2)結果、本願商標が商標法4条1項11号に該当するとの誤った結論に至ったものであるから、違法として取り消されなければならない。

1  取消事由1(商標の類否判断の誤り)

(1)  審決は、本願商標より生じる「カルゲン」の称呼と、引用商標より生じる「コルゲン」の称呼とが、「共に4音構成よりなり、語頭音において『カ』と『コ』と相違するものである」(審決書3頁10~11行)としながら、「該差異音『カ』と『コ』は、子音を同じくする音節であるばかりでなく、それらの母音『a』と『o』は、いずれも調音位置を同じくする近似した音である。そうとすれば、両称呼を一連に称呼した場合には、全体の語調、語感が極めて近似したものとなって、これらを互いに聴き誤る場合が少なくない。したがって、本願商標と引用商標とは、外観及び観念が相違するとしても、全体の称呼において類似する商標と言わざるを得ない。」(同3頁11行~4頁1行)とした。

しかしながら、本願商標の称呼と引用商標の称呼とは、ともに4音という短い音構成において、称呼上最も注意を惹く語頭音の位置に「カ」と「コ」の差異音を有しているのであるから、たとえ、それが子音を同じくするものであっても、語頭音でない位置にのみ差異音がある場合に比べ、一連に称呼したときの印象(音感)が、大きく異なることは明らかであり、それらの称呼は類似するものではないというべきである。

また、商標の類否は、同一又は類似の商品に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、しかも、その取引の実情を明らかにし得る限りその具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである。しかるところ、本願商標及び引用商標の各指定商品は、いずれも相当に専門的な知識を有する業者が取り扱い、かつ、需要者においても、そのような業者から説明を受けて購入する商品選択性の高い商品であって、取引者、需要者は、商品の出所の異同に関心が強く、ひいては商標の異同についても相当の注意を払うものであり、しかも、本願商標と引用商標とは、その外観が異なるから、その外観と称呼との関連性を知る者は、両商標の称呼の差異に注意し、これを認識し得るものである。さらに、両商標とも造語であるところ、一般に造語よりなる商標が称呼される場合には、その発音の相違に注意が向けられるのみならず、引用商標の「コルゲン」の称呼に接した者の多くは、風邪薬を連想するのに対し、本願商標からは特定の観念は生じないから、このことからも、両商標の称呼は、区別して聴き分けることができるものというべきである。

したがって、審決の上記判断は誤りである。

(2)  いずれも栗田工業株式会社の登録出願に係る、「カルゲン」の片仮名文字を横書きしてなり、指定商品を商標法施行令別表による第1類「化学剤」とする登録第3218212号商標(平成6年4月26日登録出願、平成8年11月29日設定登録、甲第9号証の1、2)、及び「KALGEN」の欧文字を横書きしてなり、指定商品を同第1類「化学品」とする登録第4330147号商標(平成10年12月25日登録出願、平成11年10月29日設定登録、甲第10号証)が、それぞれ設定登録を受けているところ、これらの登録商標は、引用商標の設定登録(平成4年4月30日)の後に登録出願されたものであり、かつ、「カルゲン」の称呼を生じるものであることが明らかである。

また、平成5年審判第4790号事件について、平成9年12月24日になされた審決(甲第11号証)は、「CALGEN」の欧文字よりなり、「カルゲン」の称呼を生じる商標と、「コルゲン」の片仮名文字よりなり、「コルゲン」の称呼を生じる商標との称呼の類否につき、両者の称呼全体を一連に称呼するときは、語頭に位置する差異音の差が称呼全体に及ぼす影響が大きく、その音調、音感が相違し、互いに彼此紛れるおそれはないと判断した。

さらに、本願商標については、平成7年9月5日に出願公告(商公平7-100102号)がなされている。

このように、「カルゲン」の称呼を生じる商標と「コルゲン」の称呼を生じる商標とが類似しないと判断した審決例、並びにこれが類似しないことを前提とする審査例及び出願公告例があることに照らしても、審決の上記判断が誤りであることは明らかである。

2  取消事由2(指定商品の類否判断の誤り)

審決は、「本願商標の指定商品である『土壌改良剤』と引用商標の指定商品である『農業用薬剤または公衆衛生用薬剤』中の『除草剤、植物育成剤』等とは、類似する商品と認められる」(審決書4頁2~5行)と判断した。

しかしながら、土壌改良剤は、植物の栽培に資するため、土壌の性質に変化をもたらすことを目的として土地に施される物であって、土壌改良資材又は土壌改良材とも称され、農業協同組合、肥料小売商等によって販売されるものである。

これに対し、公衆衛生用薬剤が、土壌改良剤のような農業との直接の関わりを有する商品でないことは明らかである。

また、農業用薬剤は、農業と直接の関わりを有する商品ではあるが、農作物を害する病害虫等の防除に用いられる物及び農作物などの生理機能の増進又は抑制に用いられる物であって、一般には農薬と称され、農業協同組合、農薬小売商等によって販売されるものである。なお、土壌改良剤と農業用薬剤とが販売所を同じくすることもあるが、土壌改良剤(土壌改良資材)については、農林水産大臣が、農林水産省令によって行う品質に関する所定事項の表示の命令(地力増進法11条、14条)のほか、特段の法的規制がないのに対し、農業用薬剤(農薬)については、製造業者による農薬の登録(農薬取締法2条)、製造業者による所定事項の表示(同法7条)、販売業者の届出(同法8条)、販売業者についての農薬の販売の制限又は禁止(同法9条)、販売業者による帳簿への記載・帳簿の保存(同法10条)等の義務が製造業者、販売業者に課されていることにより、販売所において、土壌改良剤と農業用薬剤とは厳密に区別して取り扱われ、販売されており、両者は、その取扱い方法及び販売方法を異にするものである。

したがって、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とが類似しないことは明らかであって、審決の上記判断は誤りである。

第4被告の反論の要点

審決の認定・判断は正当であり、原告主張の審決取消事由は理由がない。

1  取消事由1(商標の類否判断の誤り)について

(1)  本願商標より生じる「カルゲン」の称呼と、引用商標より生じる「コルゲン」の称呼とは、語頭音以外のすべての構成音を同じくするものであり、相違する語頭音の「カ」と「コ」についても、子音「k」を同じくし、かつ、それらの母音「a」と「o」とは、調音位置を同じくする近似音である。加えて、これらの称呼の共通する濁音を伴った「ゲン」の音部分が明瞭に発音、聴取されるため、これらを一連に称呼した場合には、全体の聴感が極めて近似したものとなり、互いに聴き誤るおそれが少なくないというべきである。

商標の類否は、同一又は類似の商品に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、しかも、その取引の実情を明らかにし得る限りその具体的な取引状況に基づいて判断すべきものであるとの原告の主張は認めるが、審決は、これらの要素を総合勘案して、両商標を類似する商標と認定、判断したものである。

原告は、本願商標及び引用商標の各指定商品は、いずれも相当に専門的な知識を有する業者が取り扱うものであると主張するが、本願商標の指定商品である土壌改良剤と、引用商標の指定商品中の除草剤、発芽抑制剤、植物ホルモン剤、植物育成剤等は、ともに、その殆どが園芸店、農業協同組合で販売され、主に全国の園芸家及び農家が使用するものである。また、原告は、一般に造語よりなる商標が称呼される場合には、その発音の相違に注意が向けられるとも主張するが、本願商標や引用商標のように造語よりなる商標は、観念を生じさせる商標に比べ、一般に称呼の点において聴き誤るおそれが多いものである。

したがって、本願商標と引用商標とが類似しないとする原告の主張は誤りである。

(2)  原告は、登録第3218212号商標及び登録第4330147号商標の各登録例、平成5年審判第4790号事件について、平成9年12月24日になされた審決、並びに本願商標について出願公告されたことを挙げて、審決の判断が誤りであると主張するが、審査の上級審として位置付けられ、審判官の合議体でなされる審決の判断と、審査官の判断とを同列において論ずることはできないし、また、上記審決に係る事件と、本件とは、事情を異にするものであるから、これを同一視して考えることはできない。

なお、昭和56年審判第24717号事件につき、平成2年1月18日になされた審決において、「カルゲン」の片仮名文字を横書きしてなり、「カルゲン」の称呼を生じる商標と、「COLGEN-M KOWA/コルゲンMコーワ」の構成よりなり、「コルゲン」の称呼も生じるものと認められる商標とが、称呼上類似の商標と判断されたほか、「レジェール」と「リジェール」、「スニファー」と「ソニファー」のように、称呼上、語頭音が相違していても、その差異が同行音の微差でしかないような場合には、それらの称呼を有する商標が類似するとされた判決例も少なくない。

加えて、原告は、本願商標の登録出願の過程において、拒絶査定を受けた後、商標法50条に基づき、引用商標の指定商品中「土壌改良剤」について、商標登録取消審判の請求(平成9年審判第6997号)をし、その旨の審決を得ているが、このことにより、原告自身も、本願商標と引用商標とを称呼上類似する商標であると考えていたことが推認される。

2  取消事由2(指定商品の類否判断の誤り)について

特許庁が、商品の類否判断の基準として使用し、一般にも公開している「類似商品審査基準」において、土壌改良剤は、農業用薬剤又は公衆衛生用薬剤のうちの除草剤、発芽抑制剤、植物ホルモン剤、植物育成剤等と類似する商品であるとされている。該審査基準は、具体的に、各商品を取り扱っている業界の意見を聞き、さらに、裁判所の商品に関する判決や、時代による商品の類似関係の変動等を取り入れて作成されているものであって、商品の類否判断に際し、取引の実情を反映した資料として、各業界、裁判所等に広く支持されているものであるが、これまで、土壌改良剤が除草剤、発芽抑制剤、植物ホルモン剤、植物育成剤等と生産者、販売者、取扱店を異にするものであって、非類似の商品とすべきであるとするような意見が特許庁に寄せられたことはない。このことは、該業界において、土壌改良剤が、除草剤、発芽抑制剤、植物ホルモン剤、植物育成剤等と類似する商品として取り扱うことが適切であると考えられていることを示すものである。

また、東京高等裁判所平成7年(行ケ)第161号事件の判決においても、これらの商品は、互いに類似する商品であると認定されている。

したがって、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とが類似しないとする原告の主張は誤りである。

第5当裁判所の判断

1  取消事由1(商標の類否判断の誤り)について

(1)  本願商標より「カルゲン」の称呼を、引用商標より「コルゲン」の称呼を生じることは当事者間に争いがなく、そうすると、該各称呼は、ともに4音の音構成からなり、語頭音の「カ」と「コ」が相違するが、その子音「k」は共通であり、また、他の3音「ルゲン」を同じくするものであることが認められる。

しかるところ、被告は、各称呼の語頭音「カ」と「コ」の母音「a」と「o」が、調音位置を同じくする近似音であると主張する(本願商標の登録出願に対する拒絶査定の謄本(甲第2号証の7)が、拒絶の理由として引用する登録異議の申立てについての決定の謄本(同号証の6)記載の理由に鑑みて、該主張は、母音「a」と「o」が、いずれも後舌母音で調音域を同じくする近似音であるとの趣旨と解される。)。しかしながら、仮に母音「a」と「o」が、いずれも後舌母音であって、その調音域を同じくするものであるとしても、母音の音質を大きく左右する口の開閉の度合において、「a」が大開き母音、「o」が半閉じ母音ないし半開き母音であることが明らかであり、このことに照らすと、必ずしも両者が近似音であるということはできない。

また、被告は、前示両称呼の共通する濁音を伴った「ゲン」の音部分が明瞭に発音、聴取されるとも主張するが、該両称呼のアクセントは、それぞれ「カ」、「コ」の音の位置にあると認めるのが自然であり、「ゲン」の音部分が、これに比べて、明瞭に発音、聴取されるとも認めがたい。

以上のとおり、前示両称呼の差異音が、その子音は共通であるとしても、その母音は近似するとはいえず、かつ、該両称呼のアクセントが該差異音の位置にあるものと認められることに加え、該両称呼の音構成が4音と比較的短いこと、前示差異音が称呼の差異を聴別しやすい語頭音の位置にあることを併せ考えれば、両称呼の全体を、それぞれ一連に称呼したときに、その音調、音感は相当程度に相違するものと認められ、互いに聴き誤るおそれは乏しいというべきである。

したがって、本願商標と引用商標の各称呼が類似するものであるとすることはできない。

(2)  本願商標及び引用商標の構成態様は、別紙1、2記載のとおりであり、その構成文字が相違するほか、構成文字の書体も異なるものであるから、両商標の外観は相違し、格別類似するものでもないというべきである。

また、弁論の全趣旨によれば、本願商標を構成する「カルゲン」の語及び引用商標を構成する「コルゲン」の語は、いずれも造語であることが認められ、そうすると、両商標からは特定の観念が生じないというべきであるから、その観念は対比すべくもない。なお、引用商標については、商標公報(甲第4号証)により、それが、興和株式会社の登録出願に係る商標であることが認められるところ、同社が「コルゲン」の文字又はこれに他の文字を付加してなる標章を付した感冒薬を販売しており、宣伝広告を通じて、本願商標の登録出願当時、それが感冒薬の標章として周知著名であったことは、当裁判所に顕著であるから、引用商標から、感冒薬を想起することが多いということはできるが、引用商標から感冒薬の観念が生じるものとまでいうことはできない。

(3)  以上のように、本願商標と引用商標とは、その称呼及び外観において、それぞれ相違し、かつ、格別類似するものでもなく、また、両商標の観念はこれを対比することができないものであるから、本願商標と引用商標の類否を、称呼、外観、観念を総合して考察した場合に、両商標が類似する商標であるとすることはできない。

被告は、昭和56年審判第24717号事件につき平成2年1月18日になされた審決において、「カルゲン」の称呼を生じる商標と、「コルゲン」の称呼をも生じる商標とが、称呼上類似の商標と判断された旨主張し、あるいは、「レジェール」と「リジェール」、「スニファー」と「ソニファー」のように、称呼上、語頭音が相違していても、その差異が同行音の微差でしかないような場合に、それらの称呼を有する商標が類似するとされた判決例が少なくないとも主張するが、本件における本願商標と引用商標との類否判断が、該審決に拘束されるものでないことはもとより、「レジェール」と「リジェール」の各称呼、あるいは「スニファー」と「ソニファー」の各称呼を生じる商標についての類否判断の事例とも、アクセントの位置や、語頭音(差異音)の母音等の事案を異にするものというべきであるから、これらの審決及び判決例によって、前示判断が左右されるものではない。

また、平成9年審判第6997号の商標登録取消審判請求事件について、平成9年11月17日になされた審決(甲第6号証の2)及び該審判事件の審判請求書(同号証の1)、本願商標の登録出願に対する登録異議の申立てについての決定の謄本(甲第2号証の6)及び拒絶査定の謄本(同号証の7)によれば、引用商標の指定商品中、「土壌改良剤」について登録の取消しを求める前示審判請求をしたのは原告であること、原告は、本願商標が、引用商標と類似し、かつ、引用商標の指定商品に含まれる商品を指定商品とするとの理由による拒絶査定に対し、本件不服の審判請求をした後である平成9年4月23日に、該登録取消しの審判請求をしたことが、それぞれ認められるところ、被告は、これらの事実により、原告自身が、本願商標と引用商標とを称呼上類似する商標であると考えていたことが推認されると主張するが、一般に、前示のような理由による拒絶査定を受けた商標登録出願人が、当該理由に係る商標の類似を承服すると否とにかかわらず、拒絶査定不服の審判請求中に、該拒絶の理由を回避することを企図して、前示のような登録取消しの審判請求をすることは、格別異とされるものではないから、原告が、前示登録取消しの審判請求をしたとしても、そのことの故に、原告が、本願商標と引用商標とを称呼上類似する商標であると考えていたと推認することはできない。

(4)  したがって、「本願商標と引用商標とは、外観及び観念が相違するとしても、全体の称呼において類似する商標と言わざるを得ない」とした審決の判断は誤りであるといわざるを得ない。

2  以上によれば、その余の点につき判断するまでもなく、原告の請求は理由があるから、これを認容し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中康久 裁判官 石原直樹 裁判官 宮坂昌利)

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